競馬の主役は競走馬ですが、その周りには競走馬を支えるたくさんの人たちがいます。
それぞれの人が職業に就いており、競走馬を支えています。
今回は、そんな競馬関係のお仕事についてご紹介します。
もくじ
騎手
私たちにとって最も身近な存在であり、レースに直結するのが騎手と言えますね。
競走馬と並んで、競馬関係の主役とも言えるのが騎手です。
騎手の仕事は、当たり前のことですがレースに騎乗して、競走馬を勝利に導くことです。
競馬の騎手はレースに騎乗した際に5着衣内に入ると賞金の5%を獲得することができます。
それ以外にも、レース1鞍騎乗しただけで騎乗手当というものがもらえますので、勝利数はもちろんですが、騎乗数が多いことも騎手の収入として重要な要素となります。
競馬の騎手は週末のレースが開催される時だけが活躍の場だと思われがちですが、実際には平日もしっかりとお仕事をしています。
平日は主に水曜日と木曜日に競走馬の調教(追い切り)が行われます。
普段は調教助手と呼ばれる調教を専門とした乗り手がいるのですが、レースが近い場合や初めて騎乗する馬に対して事前に騎乗して特徴を掴んでおくといった理由から騎手が調教に騎乗することは珍しくありません。
騎手が調教に騎乗するメリットとしては、普段と違う人が騎乗することによって馬自身がレースが近いことを察知することができると言われています。
つまり、速く走らせなくても騎手が騎乗するだけで精神的にピリッとして気合が乗ることがあるのです。
また、前述の通りレースで初めて騎乗する馬に対して、事前に何度か騎乗しておくことによって特徴を掴むことができます。
全く騎乗したことがない状態でレースに臨ことも多々ありますが、事前に騎乗しておけば、よりレースでスムーズな競馬ができる可能性が高いので、予想する際に騎手が調教に乗っているかどうかをチェックするのは有効と言えるでしょう。
その他に、厩舎に所属している騎手は厩舎の掃除などの雑務を行うこともあります。
基本的に競馬関係者は月曜日がトレーニングセンターの全休日とされていますので、月曜日に休みを取る人が多いですが、人気の騎手であればトークショーやテレビ番組の収録などといった外部での仕事もあります。
調教師
競走馬に騎乗するのが騎手なら、競走馬を鍛えるのが調教師の役割です。
競馬の調教師はそれまでの経験をもとに厳しい試験をくぐり抜け、JRAから調教師免許を取得することで初めて調教師になることができます。
調教師になる人は、現役時代に騎手として活躍していた人から、後ほど紹介する調教助手としての経験を経て調教師になる人もいます。
調教師になると自分の厩舎を持つことになりますので、一般的に例えると起業して自分の会社を持つようなイメージになります。
自分の会社(厩舎)の経営者となるわけですから、社員(調教助手や所属騎手)をかかえることはもちろん、何よりも競走馬がいなければ収入を得ることができません。
中でも有力な競走馬を管理するようになることが調教師としての実力が問われることであり、実績はもちろんですが、それまでの牧場や馬主との繋がりも重要になってきます。
調教師の主な仕事は会社の社長に近いところがあり、大きくは各競走馬の方向性を決定していくことになります。
競走馬それぞれの個性や長所、短所を見極め、トレーニングの内容を決め、出走するレースを選択します。
レースは調教師だけで決めるのではなく、馬主や騎手と相談することもあります。
時には自ら管理馬に跨り、調教を行って状態をチェックすることも珍しくありません。
騎手出身の調教師であれば名前を聞いたことのある人も多いかもしれませんが、調教助手出身や牧場出身といった調教師さんもたくさんいます。
中には学生時代に部活動として馬術部に所属していた方が調教師になるという方も多く、様々な知識や経験、そして技量が求められる重要な難しいお仕事と言えます。
ちなみに、調教師の主な収入と言えるレースでの獲得賞金の配分は10%とされています。
これは調教師自身に入るというよりは厩舎(会社)へ入るお金となりますので、実際には獲得した賞金を厩舎の設備投資や調教助手への給料に充てるため調教師自身に入るお金は10%より少ないと言えるでしょう。
調教助手
調教助手は、調教師の厩舎に勤めており、分かりやすく言えば調教師を補佐するのが仕事です。
主な仕事は調教師が決めた調教メニューの通りに調教をこなし、競走馬の育成や調整を行うことです。
その他にも仕事内容は様々で、レース選択や調教内容などを調教師にアドバイスすることもあります。
決められた内容の調教を行う、と一口に言っても決して簡単なことではありません。
例えば「600mをこのくらいのタイムで走ってほしい」といった指示が出たり「今回は折り合いに専念してリラックスして走らせてほしい」といった高度な技術が求められます。
ただ乗って走らせれば良いわけではないので、調教助手の仕事も非常に重要と言えます。
まさに「縁の下の力持ち」ですね。
調教助手になる方は騎手を引退してから試験を受けてなる人もいれば、厩務員から調教助手になる人もいます。
調教助手として経験を積んだ後に、先に紹介した調教師を目指すという方も多くいらっしゃいます。
厩務員
厩務員の仕事は、担当している競走馬の身の回りの世話をすることです。
毎日食事を取っているか、体温に異常はないか、ケガをしていないかなどをチェックします。
調教助手とは違い、実際に競走馬に騎乗して調教をつけることはできません。
ただし、調教厩務員という資格を取得すれば、最大2頭まで調教をつけることができます。
厩務員は普段の身の回りの世話をするのが主な仕事ですが、それ以外にパドックでの曳き馬をしているのも厩務員の場合がほとんどです。
つまり、私たちがパドックで周回している馬を見る時に、一緒に付いて歩いているのが厩務員であり、競走馬にとっては普段から近くにいる人が一緒に回ってくれるので安心できるという点も重要な要素です。
本馬場入場の際に騎手へとバトンタッチしますが、またスタート前のゲート裏で競走馬を曳いて周り、場合によってはゲートインまで担当することもあります。
普段の体調管理からレース直前まで、まさに担当する競走馬と寝食を共にしてそばにい続ける重要なお仕事と言えますね。
厩務員は自分の担当馬がレースで活躍すると、賞金の5%が配分されることになっています。
生産者(牧場)
生産者は、牧場を経営し競走馬を生産する人たちのことです。
日本においては、北海道が競走馬の一大産地として知られています。
生産者は生産牧場を所有しており、自分の牧場で所有している繁殖牝馬や種牡馬を交配させ、新たな競走馬の生産を行っています。
所有している繁殖牝馬が無事に出産を終えると、産まれてきた幼い競走馬を一から育て、競走馬としてデビューできるようにしつけと訓練を積み重ねます。
まさに競走馬の原点と言える場所であり、どの競走馬も必ず生産牧場のもとでその命が誕生します。
また、牝馬であれば引退した後に自分が産まれた牧場に戻ってきて、今度は繁殖牝馬として次の世代へバトンタッチするために第二の人生を送ることが多いです。
その他に、生産は行わずにデビュー前の競走馬のトレーニングのみを行う牧場や、現役馬が休養中にリラックスできる環境を提供したり、休養中のトレーニングを請け負う牧場もあります。
まとめ
日本の競馬はエンターテイメントとしての一大産業であり、とても大きな市場ですので、様々な仕事があります。
私たちにとっては騎手が最も身近な存在かもしれませんが、実際には競馬の開催、特に競走馬を育成・管理するためにたくさんの人が周りでサポートして運営しています。
そのため、大きなレースで勝利すればもちろん騎手が最も注目されて祝福されますが、その周りにいる関係者の日々の努力や仕事も非常に重要となります。
もし競馬関係の仕事に就きたいと思えば、志してみるのも良いでしょう。
競馬にはたくさんの夢があり、ドラマがあります。
そのような環境に自らが関われることは人生にとって大きな希望や夢を与えてくれるものになることでしょう。